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テーマトーク失敗談 ダイ


(ダイ)

では私の話です。

サブタイトルで言うと「壊れないから大丈夫?!」というところの話になります。

まず皆さん聞いてる方にも考えてほしいです。先ほど150kgの話がありましたが、そういう製品に意地悪しますか?ということ。

これも2年目ぐらいのときに開発を担当してたときなんですけど、私の場合、高温で使うものをよく扱っていました。

エンドユーザーが使う条件の範囲として一つ温度を例にとると、仮に通常の使用範囲が500℃から800℃だった場合。製品そのものが持つ上下限値というものがあって、その値が500℃~800℃ではなく400℃~900℃、というように安全を考慮した範囲で開発するのが一般的だと思いますが、500℃~800℃の範囲の中だけで壊れないような設定で設計をしてしまい、製品化まで取り組んでしまったというケースがありました。

その背景には要素開発をしている中で性能が良かったということもあって順調言っている中で調子こいてですね、どんどん開発を進めてしまったっていうところがあります。

とある実験で温度を上げてテストしたときにですね。初めて壊れたんですけどちょっと自分の想定していたモードと違う壊れ方したんですね。

でそのときに本当にあれ?と思って原因、そのメカニズムというのが理解できなかったっていうところがありました。

この点についてですね。社内でも話が広がってこの設計に対する信頼度というのが下がって。

これってもしかして他のことしたら壊れるんじゃないの?あんなことしたら壊れるんじゃないの?というような、噂じゃないですけど懸念が広がってですね。

それを解決するために時間かかってしまって開発を大幅に遅らせてしまったというのが、 大きな失敗です。

もちろんFMEAとかもやっていたんですけど、なかなか壊す試験ということをやれていなくて。

故障モードとか製品の死にざまというのを見ることがなかったというのが大きな反省点ですね。

後々ですね、ある方から製品の死にざまを見ていないのに製品を理解したふりするな、そんな状態でDRDesign Review)なんてやるんじゃない。というふうに怒られてですね。

そこですごい納得しました。

以前です車って海外でとんでもない使い方することがあるという話をしたことあります。例えば高圧洗浄機とかを使ってですね、車内をですね、平気で洗浄したりですね。

50cm以上の沼をですね、平気でですね、運転するとか。

そういうのがあって日本じゃ考えられないような環境で使う。

 

壊れるような試験を(ユーザーが)自分たちで実践してるようなとこあるかなと思うんですよ。そういうのも理解しながらやはり物の壊れ様というのを知らなきゃいけないのかなっていうのを2年目のときに痛感して失敗したなっていう。

当たり前の話でした。

はい、ということで皆さん開発してるときはどんどん(製品を)いじめましょうと。

そんなお話です。

 

(春山)

 

最初に壊れないから大丈夫がサブテーマっておっしゃったじゃないですか。

この辺がね、すごくね、よくわかってもう。

設計して形になったらもう100点満点(終わり)って思ってる人がいっぱいいるんですよね。

これがねぇよくない。昔で言う安全神話みたいなところですよね。

いろんなところにあったものづくりの安全神話とかそんなところにつながっていくと思うんですけども、何でもかんでもね、完璧なものなんて絶対に無理なんでなんですよね。

だから限界の試験みたいなこととか壊れる前提とかが必要なんですよね。

 

 

(ダイ)

そうなんですよ。これを分かっていたらしなかったんですけど、いいものができてるからというのでどんどん進めちゃったんですよね。

 

(春山)

 

自信がでてきますよね。

その気持ちもわかるんですよ。これ!いいものできたって思っちゃうんですよね。わかります。

 

 

(ダイ)

例えば振動試験をやってもJIS規格とかがあって、規格内に入ればいいというのもありますが、言い方悪いですけど所詮はJIS規格なので想定以外の運搬の仕方もあると思う。

そういうことの検討をしていなくて、振動でどうやって壊れるのか?そしてそれが壊れたときのものの状態どうなってるの?っていうところが理解できていなかった。

一つ嶺してこういうふうなところです。

 

(春山)

 難しいですけどね。全て想定するというのは難しいところではありますけどね。

 

(ダイ)

振動はすごく難しい。振動はいろいろな周波数、振動があるので。

 

(春山)

 

 これは難しいですね。全てを網羅するともうね、とんでもないことになりますもんね。

試験だけでもうずっと終わっちゃう。それが許されるのであればいいですけどね。

 

(ダイ)

本当ね、だからやっぱりいじめないといけない。意地悪試験とかそういう試験ってあるんですけどこういうのをあらゆるパターンでやっていかないとやっぱり本当にいいものってできないなという。

本当に死にざまを見ないとそのものの本質ってわかんないなというのをですね、かなり痛感したっていうところですね。

 

(春山)

なかなか実際作ってきたものを壊してしまうっていうのはできないかもしれないですけど、そこを机上でも考えるっていうのは結構大事かもしれないですよね。

 

(ダイ)

そこができるかできないかって、そうですね。今でも思いますね

 

 

(春山)

 

 やっぱり私なんかも設計者目線でいずれ壊れるとか、何かあったら壊れるとか、何かあったときどうしようっていう意識をずっともっていますよね。

もの作ったけど絶対大丈夫なんて思わないですね。若手の頃はね、そういう変な自信あったかもしれないですけど。今は全くないですね。

 

(ダイ)

どっかに何かあるんじゃないかって感じですよね。

 

 

(春山)

ずっと薄いストレスを抱えてる。

 

(ダイ)

そうそう、結局は市場に出したら当然市場での使われ方も全く変わる。

 

(春山)

そうですよね。思っていない使われ方なんてありますよね。

 

(ダイ)

とんでもない使い方する人たちいるんで。

やっぱりそう考えると、それは読めないじゃないですか。

1万人のユーザーに渡したら1万人の使い方があるので。それをじゃあ全部パターン読んで試験してOKだったって言うとそうでもないと。

 

(春山)

 神じゃねえから無理だよって話ですよね。

 

(ダイ)

それをパターン化してあるし標準化して限界試験とか作ってやってそれでもダメですからね。

やっぱり壊れるときは壊れるから。

 

(春山)

 そうですよね。アルエさんはどうです?今のお話聞いてて何かあります。

 

(アルエ)

そうですね、薄いストレスはすごくありますよね。(笑)×3

本当にどこまで検討して設計をしてものにしたとしても何かあるんじゃないかっていうのはずっと抱えることになると思います。

使い方の話もそうですけどまさかの死にざまが出るっていうパターンもありますもんね。

そんなの知らねーよって感じでそれに直面したときはすごいストレスの度合いで言うとものすごいと思うんですよね。

マジか?!ってなるんですけど。

それこそでもやっぱ面白いなっていうのは振り返ると思うことは思うんですね。

 

(春山)

 そうですね。そこで発見することありますもんね。

 

(ダイ)

もしかしたらそれがその製品の本質の一つかもしれないですよね。

知ったか振りをしてたっていうところもあて、それがやっぱり壊すことでものの本質が知れるって言うところが大事だなと思いました。

 

以上

 

 

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