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テーマトーク失敗談-春山


(ダイ)

では次ですね。

春山さんの方からお願いしたいなと思います。

 

(春山)

はい、私の初めての失敗ということです。やっぱり若手の頃ですよね。

当時は生産技術にいて初めて自分が担当した案件。装置の改造をしました。

どんな装置かと言ったら畳ぐらいの大きさのテーブルを往復運動させる装置です。slのテーブルにいろんなワークを乗せてとある処理をするという装置なんですね。

その搬送するスピードと搬送往復の回数で処理の量が決まるみたいな感じなので、搬送するスピードというのが結構大事だったんです。

あるとき設定したスピードがちゃんと出ていなかったみたいで ワークの処理に不具合が出ちゃったんですよね。

で、この装置自体が90年ぐらいに作られている装置。90年ぐらいに作られた装置ってほとんどみんなそうなんですけど、80年代ぐらいに PLCが工場に普及して自動化というのが広まっていくんですけども、その当時の設備ってもうみんなとにかく動けばいいと。

動いてものを作ればいいっていう思想。当時はそういう思想でしか設備が作れないっていうのもあるんですけどもね。

だからそのとき私が担当した設備もとにかく動けばいいという思想なんですよ。

だからその搬送速度が、例えば設定速度が3m/minなのに実際1mぐらいしか出ていなかったとなってもエラーも何も出ないというような状態だったんですよ。

それはいかんね、ということで実際の速度を監視しようということで速度の監視をするシステム作ったんですよタコジェネつけてタコジェネからのデータを三菱のPLCにAD変換器を増設してデータを取り込んで。内部演算して上限下限の状態を見て上限切るとか下限切るとかなったらエラー出すみたいな。

あとですね、キーエンスのデータロガーを増設して何秒周期かで速度のロギングするデータを保存するみたいなシステムを作ったんですよね。

私は当時関西にいて工場は関東の工場でそこに私とあとハードの改造してくれる職人さん1人連れて行って、ハードの改造も色々あったけどなんとか終わってその後ソフト。ラダーですね。

ラダーをインストールして動かそうとしたら全然動かないんですよ。

新しく追加したシステムとかだけじゃなくて、そもそもの動きがなんかもうちゃんと動かなくなってみたいな感じになって。

全然動かなくてどうしたらいいかわからないよー!みたいな感じになっちゃって。

初めての担当ということもあってもうアップアップになってどうしようもなくなった。

最終的に先輩がヘルプに来てくれて「じゃああとやっとくから」っていうことで引き継いで私はもう途中で帰っちゃったっていうことが初めての大失敗ですよね。

帰ってからなぜなぜ分析でなぜ失敗したか?っていうのを上司から詰められてかなり鬱になりながら分析をやっていくんですけども、今から思うとほんと木を見て森を見ずみたいな。

ラダーでも何でもプログラムってそうですけど、ロジカルシンキングして全体像をちゃんと見てやっていけばなんとかなるんですけどもね。

この場合、1個1個の要素、データを取り込むとか、上限下限を監視するとか、そういった1個1個の要素はできていたかもしれないけれど、全体の整合性みたいなところがちゃんと取れてなかったなというところが失敗の最大の原因かなというところですね。

っていうところが私の2年目だな。2年目ぐらいのときにやっちゃった大失敗になります。 顔面真っ白にして新幹線に乗って帰りました。

 

(ダイ)

90年代っていうのは引っかかりますよね。そういう意味ではなんかひっかかる。

 

(春山)

あの頃の設備はもうみんな(動いて製品を)作ればいいっていう形ですし、そういう思想。大量生産とにかく作って不良品が出たら廃棄すればいいっていう感じなんですよね。

2000年入ってからちょっと変わっていくんですよ。品質を工程で作り込むみたいな話が2000年を過ぎて2010年とかになってくると自工程で完結タイプとかそういう話が出てきます。

 

(ダイ)

私は分野が違うんですけど、90年代にできてくる分析装置とかってただ単にデータが出てくるだけで意味合いとか何もわかっていないまま、紙切れで数字だけが出てくる。

とにかく測ったものが出てくるとかですね。

中身わかってないのに数字だけが出てきてその数字で物事判断しちゃうもんだから結構それで大きな間違いがあったりする。

だからOKと思って流してみたら全く違ってよくよく確認したら装置のセッティングが違うとか入れる条件が違うとか、そういう話になったことがあるんですよ。

やっぱりそこって多分いまの装置だったらセッティングがおかしいとエラーがちゃんとでるし、評価する前にちゃんと絶止まるようになってるはずなんですけど、そういうのって90年代の頃ってなかったなっていうのは今の話しを聞いて思い出して似たような失敗したなって思いました。

 

 

(春山)

そうなんですよね。80から年代から90年前後で作られた設備とかそういうものの設計思想っていうところを追っていくと、さっきもちょっと言いましたけど作れないんですよね。そこまでいろんなセンサーがないとかセンサーがすごく高価とかがあって。

例えば ロータリーエンコーダーって回転を計測するセンサーありますけど、今だったら簡単に標準でついてたりするんですけども、サーボモーターとか買ったら。標準ではついてないかさすがに。まぁでもそんなに手間じゃないですよね。

昔だったらロータリーエンコーダーってなかなかね高価だし大変だったんですよね。

だから簡易ロータリーエンコーダーを自作したりもするんです。

そういういろんな創意工夫をしながらでも、まあなかなかあれもこれも今みたいにセンシングでどうのこうのみたいなとか、それを分析する、みたいなのはあの頃の装置はそこまでできないっていうのが実態ですよね。

 

(ダイ)

なんかそういうのつけるの好きな人がいてどんどんペタペタ自作していって最終的に何の評価をするものなのかわからなくなって、結局その人がいなくなったからどう処理していいかわからんわ!というその人だけの装置ってあったな。

 

(春山)

スーパーマンですね。

スーパーマンは多分どこにもいたと思いますね。

 

(ダイ)

アルエさんってそういうなんか昔の装置ってありました?会社で。世代的にはもしかしたらないかなと思ったのですが。

 

(アルエ)

そうですね今、歴史を聞いて、あ!そういう流れだったんだなっていうのはすごく勉強になってたところです。

 

(ダイ)

そういう装置ってあんまり使ったことないですか 古の装置とか。

 

(春山)

私は私より年寄りの装置とかも扱ったことありますよ。結構。

70年前のやつとかもありますね。

もうカムのお化けみたいな装置でこれどうやって調整するの?!って。

軸1本しかないのにめちゃくちゃ動きまくってて、どうやって調整するの?これ。

みたいな 

 

(ダイ)

そうですねセンターもついていないからどうやって止めていいのかわからないときありますよね。

そう考えるとやっぱり私は春山さんと年代が近いですけど20代の頃の気持ちで結構たまに恐ろしいポイントありますよね。

 

(春山)

そうなんですよ。もうゲロ吐きそうなぐらいずっと調整調整でやって作り込んでギリギリ出た設定がなんとか動くみたいな。

 

(ダイ)

そうですよねそういうときあります。

調整に3時間かかって評価に2時間ぐらいかかるって。多分今だったら両方合わせても30分でできるような評価を5時間ぐらいかけてやってようやく1個のデータが出るってケース。

 

(春山)

そういう意味では今はすごくやりやすくやりやすい一方で知識をね、いっぱい知らないとダメだなっていうのがありますよね。

 

(ダイ)

はい、それはありますね。

どうしてこういうふうな動きするんだとか、どうしてこの数字出るんだとかっていうの

をよく考えながらやりましたね。

 

 

(春山)

カムで動かしているような機械だとカムで動かしているから目に見えるんですよね。

そのカムに沿ってローラーフォロワーがこう動いていくっていうのが目に見えるから、ここのタイミングが遅いってなったらそこに連結してるカムをちょっと調整すればいいとかはそのハードが目に見えてわかるんですよね。

だけど今 センサーでラダーで処理してるとかプログラムで処理してるとかでラダーだっ たらそのね、プログラムの中の処理のタイミングが違うとかなってくるともうなんかわけわかんないときあるんですけど。

それも今だったらちょっとカウンター仕込んでカウンターが反応してるからここは反応 してんだなみたいな調査したりはするんで、あ、ごめんなさいちょっとわかんないかもしれないのでやめときますが、やりようはいろいろあるにしろ何かがわからなかったときにハード的に目に見える装置だったのが、電気だとかプログラミングの制御がというのはハード的に目に見えないところで調整していかなきゃいけない難しさはあるかなと思いますね。

 

(ダイ)

まあ一長一短ではあるんですけどやっぱり今の方が恵まれてるっていう感はありますね。

 

(春山)

ハード的に調整してて調整しきれなかったらどうしようもないですからね本当に。

本当にどうしようもないけどなんとかなっちゃうんですけど、結構なんとかするんですけどね。

 

以上

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